日本科学史学会会長声明「ガザでの即時停戦と国際法遵守、問題の平和的解決を求める」

ガザでの即時停戦と国際法遵守、問題の平和的解決を求める
―イスラエルのガザ侵攻開始から1年を迎えてー


日本科学史学会会長 木本忠昭

 昨年10月に始まったイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの侵攻と苛烈な攻撃は1年を経っても止む気配が見えない。この間、ガザ地区住民の死者は4万2千名を超え、その多くは、子供と女性であるといわれる。ガザの180万人以上が極度の飢餓に直面しているともいわれる。ポリオワクチン接種のための一時的停戦が実現した時期もあったが、現在はワクチン接種中の施設も攻撃を受けるなど、イスラエルによる破壊的な攻撃はますます無差別性を強めている。農地も70%が破壊され生活空間は荒廃の一途を辿っている。
 侵攻の直接のきっかけとなったのはハマスによる奇襲作戦と人質拉致であるが、問題の根幹には、パレスチナのガザおよびヨルダン川西岸に対し、1967年以来イスラエルが占領を続けているという事実がある。ヨルダン川西岸ではイスラエルは国際法違反の入植地建設を押し進め、ガザでの危機と同時進行する形で、入植者によるパレスチナ人への暴力の激化、生活と財産の破壊が深刻化している。さらに、戦闘は近隣国へと拡大し、中東全体に拡がる様相を見せている。
 ガザ危機をめぐり、国連は既に昨年10月には総会、そして安保理でも本年3月と6月に、停戦を求める決議を可決している。国際司法裁判所(ICJ)ではガザの事態はジェノサイド(集団殺害)にあたるとする裁判が進行中であり、ICJは本年1月には「ジェノサイド防止のためのすべての手段を講じること」を命じる暫定措置をとった。さらに7月には、イスラエルが1967年ガザや西岸に対して続けている占領は国際法違反であり、すみやかに終結させるべきとする勧告的意見を出した。これに基づき、9月には国連総会も、イスラエルはパレスチナに対する占領を終結し、入植地を撤去し、1967年の占領開始以降に奪ったすべての財産、文化財、資産を返還すべきなどと決議した。
 私たち、科学史・技術史研究者は、科学・技術と社会の関係に深い関心を寄せる科学者コミュニテイーの一員であるが、科学・技術が戦闘に効率よく使われ、人命の大量殺傷に貢献することを強く憂えるものである。
 科学者の間では、イスラエルによる大量の人命破壊や侵略的戦闘行為に対してアカデミック・ボイコットが呼びかけられる半面、学術交流は自由で公正な討論ができる場として保持されるべきという主張がある。しかし、自由な議論は少なくとも人命破壊の拡大や、さらにそれにつながるための自由な討論を目的とするものであってはならない。
 私たちは、ロシアがウクライナ侵攻を開始したとき、侵攻は許されないとする声明を発した。イスラエルの破壊行為、戦争行為、ジェノサイド的人命抹消行為、人々の生活の破壊も同じく許されるべきものではない。侵略や戦争行為、大量殺傷、そして科学・技術の非人間的利用の拡大において、善悪判断の二重基準は許されない。
 私たちは、ガザにおける即時停戦と人質解放、国際法と国際人道法の遵守を訴え、これらの実現のために国連が行なっている努力を強く支持する。即時停戦、国際法違反の占領の終結、パレスチナの人びとの民族自決権実現と独立国家の樹立によって、中東に公正かつ永続的な平和がもたらされ、先端的であろうとなかろうと科学・技術が人類生命の抹消に使われることのない理性と人間性に基づく国際秩序が実現することを求めるものである。

2024年10月29日
(注:本声明は本学会全体委員会の意によるものである。)

日本学術会議声明「内閣府’日本学術会議の在り方についての方針’(令和四年十二月六日)について再考を求めます」に賛同する

                      

内閣府は、去る2022年12月6日、「日本学術会議の在り方についての方針」(以下、「方針」)を、また同12月21日に「日本学術会議の在り方について(具体化検討案)」を発表し、1月23日招集の通常国会に日本学術会議の「改革」に関連する法案を提出する意向を示している。この内閣府の「方針」に対して日本学術会議は、そもそもすでに学術会議が独自に改革を進めており法改正の必要な理由が示されていないことや、会員選考のルールや過程に関与するものとして提起されている第三者委員会の仕組みは、学術会議の自律的かつ独立した会員選考への介入のおそれがあること等6項目の懸念を指摘し、「再考を求めます」との声明を第186回総会(12月21日)で採択した。

日本科学史学会は、2023年1月22日開催の全体委員会で、学術会議の声明に賛同するとともに、内閣府の日本学術会議改革案には大きな問題点があると表明することで一致した。

科学史・技術史研究者がとりわけ危惧するのは、内閣府「方針」が、「政府等と問題意識や時間軸等を共有する」ことを求めている点である。「問題意識や時間軸を共有する」とは日本学術会議に政府と同じように考えることを要求するものである。いわば政府の仕事の下請け化である。これが何を意味するかは、歴史が示し、日本国民は思い知ったはずである。かつて、第2次大戦時下、時の政府と問題意識を「共有した」結果、科学者技術者は軍事研究にいそしみ、戦争に参加した。その結果は、戦争による惨禍と世界の科学・技術水準からの大幅な遅れ、非人道的兵器の開発だけでなく,多数の人命喪失に手を貸すこととなった。戦後、法的に政府から独立した科学者組織として日本学術会議をつくり、憲法第23条の学問の自由とともに日本科学再建に踏み出した。戦時下の経験は、国民的な歴史財産であるが、それは科学者技術者にとっても同じである。

科学が国民的あるいは全人類的意義を全うするには、時の社会的課題に向き合わなければならないことは当然のことである。現在でも、日本学術会議は原発や環境問題など、科学の直面する社会的諸問題に取り組んでおり、政府との間でも政府の諮問に対して遅滞なく答申してきている。しかし、科学者には短期的視野の政府と共有できる問題と、共有しがたい長期的視野、科学の論理がある。科学者や科学者組織の独立性がなく、学問の自由が保障されなければ、科学は窒息させられ、政府の顔色をうかがうだけの短期的で貧弱なものとなり、多面性を切り開く科学の本来的な力を社会で発揮させることはできない。科学の自由な活動、学問の自由、科学者組織の独立が社会にとって必要なことは、日本の歴史だけでなく世界的にも人類が経験してきたことである。学者組織の独立性は、今日の国際標準である。

「方針」には第5項で、会員等の選考に会員以外の第三者の参画を求めている。第三者の選び方次第で学術会議の独立性を大きく損ない、また運営も科学以外の力によって歪められることになりかねないことは明白である。歪められた科学や科学組織が、科学の論理を発揮し、広く公共の福祉や社会問題、豊かな国民生活へ寄与することは期待しがたい。さらに科学・技術研究自身の発達すら歪めかねない。

「方針」は、会員等の選考の「高い透明性の下で厳格な選考プロセス」とか、「バランスの確保」を強調している。しかし、菅元首相が一昨年、法に反して行った会員候補6名の「任命拒否」について、政府はその任命拒否の理由を未だにいっさい明らかにしていない。この任命拒否には、日本の歴史上かつてなく多数の学協会、科学者研究者が抗議声明を発したが、この多数の声を政府は真摯に聞こうとしていない。今回、日本学術会議改革関連法案を提出するならば、それは学術会議への政治的介入、みずからの「隠蔽」を正当化しようとするものであろう。自らの行為には隠蔽と強引な権力行使と、他者には透明性を要求するというこうした政府のやり方は,矛盾以外の何物でもなく、不誠実という言葉以外に何物も当てはまらない。政府は、自ら犯した不法行為の隠蔽ではなく、科学行政、そして科学者や国民に真摯に向き合うべきである。

「方針」の内容を持つ法案が国会に提出されるとするならば、今後の日本の科学の危機となるばかりか,基本的人権を含む憲法も危機となり,日本国民をも危機に陥れるであろう。改めて、政府方針に対する日本学術会議の声明と立場を支持し、政府は学術会議と真摯に対話することを求めるものである。

2023年1月23日

日本科学史学会会長 木本忠昭

日本科学史学会 会長声明「ロシア・プーチン政権によるウクライナ軍事侵攻に抗議し、即時撤退を求める」(2022年3月21日)

ロシア・プーチン政権によるウクライナ軍事侵攻に抗議し、即時撤退を求める

 去る2月24日のロシア・プーチン政権による突然のウクライナへの軍事侵攻は、その後ますます拡大し、市民の住居や生活手段、社会環境、学校教育研究施設、図書館、病院、歴史的な文化遺産を破壊し、国土自然を破壊し、多数の人々の生命を無差別的に奪っている。国際法上禁じられている原子力施設への攻撃や大量殺傷兵器、ミサイルなどの最新兵器が投入され、今や核の使用を懸念させており、戦争犯罪史上に明瞭な足跡を刻みつつある。核の使用はもとより、通常兵器でも無差別大量殺傷は許されざる人類史的犯罪である。   

 今回のロシア・プーチン政権による軍事力行使は、地域や国際間の紛争は平和的手段と対話で解決を図るという人類の歴史的知恵を真っ向から否定する蛮行であり、領土や政治的独立をめぐる国際間紛争に武力行使を用いないという国連憲章にも反するものである。直ちに軍事侵攻を停止し、すべてのロシア軍事部隊をウクライナ国土から撤退することを求めるものである。

 2月24日にはロシアの科学者と科学ジャーナリストは、いち早く声明を出し、プーチン政権の軍事侵攻に反対し、平和解決を要望した。学会・大学などの多くの科学者団体、さらにはフランス科学アカデミー、ドイツ科学アカデミー、イタリア・リンチェイ国立アカデミー、イギリス王立学会(Royal Society)、アメリカ国立アカデミー、カナダ王立学会(Royal Society)、日本学術会議など多くの国の科学者の代表機関も、ロシア・プーチン政権の軍事侵攻に抗議している。同じく一部のノーベル賞受賞者たちは、ロシア軍隊の撤退を要求するとともに、ロシアの安全保障関係は国連憲章やヘルシンキ協議最終勧告(1975)、パリ憲章(1990)の枠組みの中で対処できることを指摘するとともに、今回の軍事侵攻が今後長きにわたってロシア国の評判に汚点を残しロシア国民に大きな打撃を与え、ロシアとその他の世界に壁を築くことを懸念している。

 科学者は自然科学、社会科学、人文科学を問わず、過去、多くの紛争の中でも、平和的志向が確認される限り国際間の科学交流・協力の試みを続け、紛争解決と平和を望んできた。それは、科学が人類にとって普遍的意義を有すること、しかしそれにもかかわらず、科学の軍事的利用と行使が武器を先鋭化させ、破壊の規模を拡大させ、ますます多くの市民の生命を奪い、同時に科学的営みの土台である社会を破壊するとともに科学者の生命をも奪ったことを知っているからである。人類社会の存続、社会の中で生を営むすべての個人にとってと同様、平和は科学の発展にも不可欠である。

 歴史的には、核兵器の使用禁止、軍事不拡大の願いの実現が、必ずしも順調に進んでいるわけではない残念な実情が背景にあるにしても、今回のウクライナ軍事侵攻は、ウクライナの主権と国民の生命を武力によって一方的に踏みにじる許し難い行為である。

 また、他方ではロシア国内でのフェイクニュースや言論弾圧による社会破壊、科学者への弾圧を懸念すると同時に、ロシア以外の諸国においてロシア人に対する差別行動や社会的排外が進むことを懸念する。プーチン政権の軍事侵攻に反対し平和を希求する多くのロシア国民と科学者がいることも報じられている。彼らとも連帯し、ウクライナの社会と国土、平和と文化をウクライナの人々に回復する道を探らなければならない。

 まずは、ウクライナの主権を侵害し、人々の尊厳や生命と財産、社会と国土を破壊するのみでなく、ロシア自身と全世界とに大きな破壊的結果、新たな分断をもたらす今回の軍事侵攻を直ちに停止し、ロシア軍のウクライナからの撤退を強く求めるものである。

                              2022年3月21日

                        日本科学史学会会長 木本忠昭

                        

日本学術会議第25期推薦会員任命拒否に関する人文・社会科学系学協会共同声明(続報)

人文・社会科学系の学協会が言語学、文学、哲学、宗教学、歴史学、文化人類学、心理学、社会学、社会福祉学、社会政策学、経済学、経営学、法学、政治学、科学史、教育学などといった個別分野の枠を超えてまとまって一緒に意見表明を行うということは、これまでなかったことです。
しかも「共同声明」への参加・賛同学協会数は11月4日時点では226でしたが、共同声明最新版(2020年12月2日時点)では310にまで増大しています。
共同声明に参加・賛同した学協会の数がそのように多数にのぼること、人文科学・社会科学に関わるほぼすべての研究領域の学協会が参加・賛同しているということは、今回の任命拒否問題によって、人文・社会科学系の様々な分野の学協会に不安や心配が広がっていることを強く示すものです。

共同声明の運動を社会に広く知って頂くため、11月6日に日本記者クラブで、12月2日に外国人記者クラブで共同記者会見が下記のようにおこなわれました。

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President’s Statement : We Demand the Retraction of the Refusal by the Government to Appoint Nominees as Council Members to the Science Council of Japan

We Demand the Retraction of the Refusal by the Government to Appoint Nominees as Council Members to the Science Council of Japan

Tadaaki Kimoto
President, The History of Science Society of Japan
October 11, 2020

At the inception of the 25th term of the Science Council of Japan, the government has refused to appoint six of the candidates who were elected by the Science Council of Japan. This measure, taken from a political standpoint, refusing candidates elected in accordance with the Science Council of Japan Act and based on the judgement of scientists is an act that tramples upon the law and Article 23 of the Constitution of Japan, which provides for academic freedom, and is therefore totally unacceptable. We demand that the six candidates be appointed immediately.

The Science Council of Japan, after a reorganization of the pre-war National Research Council of Japan, the Imperial Academy and the Japan Society for the Promotion of Science, was established in 1949 as a “special organization” under the jurisdiction of the prime minister operating independently of the government.

The Preamble to the Science Council of Japan Act, which indicates the ground for the establishment of the Council, states that, standing in the conviction that science is the foundation of a cultured nation, under the collective will of scientists, the mission of the Science Council of Japan is to contribute to the peaceful reconstruction of Japan, to the well-being of human society, and to scientific progress in partnership with the world’s academic societies.

This is because scientists who faced the task of rebuilding a peaceful nation from the devastation of the defeat, deeply reflected on their experiences of the prewar system and cooperation with the war; the suppression of freedom of speech and learning by the prewar military state power such as that represented by the “emperor-organ theory” (theory of the Emperor as an organ of government) incident and the Takigawa incident in the 1930s, or inhumane research under the influence of the military, who made frequent visits to universities, forcibly mobilizing scientists for military research, including the development of poisonous gas and biological weapons, human experimentation, research on death rays and atomic bombs, and research on development of weapons for the arming of the whole national people. Furthermore, the ideal of this preamble, which promises to contribute to peace and the well-being of human society was summarized in statements refuting the conduct of scientific research for military purposes in 1950 and 1967. In 2017, opposing the introduction by the Ministry of Defense of Research Promotion System of Military Security Technology Fund in 2015, it was announced that these statements would be unremittingly adhered to.

At the same time, for the council’s purpose of promoting and enhancing the field of science, and having science reflected in and permeated into administration, industries, and people’s lives, the Council has proposed the establishment of a large number of research institutes and centers such as the Yukawa Institute for Theoretical Physics, Kyoto University, as well as laying the foundation for the joint utilization research system. The Council has also made efforts to secure the sufficiency, comprehensiveness and diversity of basic research, and has made repeated recommendations for the Science and Technology Basic Plan. The recommendation for the three principles of democracy, independence, and openness, which have been built in the Atomic Energy Basic Law in 1955, and   become Japan’s basic stance for nuclear research, development and usage, are derived from the basic stance of reflection upon the prewar academic system and reflecting the achievements of science in the people’s lives.

Internationally, as an institution representing Japan, the Council has affiliated with international science organizations in many scientific fields, including the International Council for Science (ICSU. In 2017, ISCU integrated with the International Social Science Council, ISSC, to form the International Science Council, ISC), and has made great contributions to the state of and promotion of science and technology in Japan, such as enhancing scientific research in Japan, in partnership with world academia.

Independence from the administrative command mechanism has been acclaimed since the time of the Council’s inception due to reflections upon history and the natural relationship between science and society, but it is natural that some recommendations are at times critical of government policy. The government being dissatisfied with these critical opinions and attitudes of the Council, reduced the power of the Science Council by partially amending the Science Council of Japan Act in 1983, and at the same time established the Council for Science and Technology as an advisory body to the prime minister on science and technology policy. The 2004 revision of the law brought about a further deterioration of the “scholarly parliament” character that brings together the collective will of scholars, but the Council has still developed activities based on the objectivity, criticality and comprehensiveness necessary to deepen communication between scientists by maintaining independence and to develop science and utilize the achievements. Since 2008 the Council has made more than 300 recommendations.

In order to further strengthen the social function of the Science Council of Japan, which is to promote and enhance the field of science, and have science reflected in and permeated into administration, industries, and people’s lives (Article 2 of the Act), it is necessary to enhance its independence and strengthen its democratic. communication capabilities. This is because the progress and methods of scientific research are diverse, and freedom of thinking and flexibility, freedom of speech and thought, and democratic debate among scientists are particularly required.

There are various opinions about how scientific research and scientific measures should tackle unknown problems, and there may be various ways of evaluating scientific achievements. If the administration of the time arbitrarily excludes some of them, this will eventually distort the scientific process of reaching the necessary conclusions by demonstrating the maximum benefit of the scientific capabilities of the current society through the exchange of diverse opinions. There are various methods and possibilities through which scientific achievements may contribute to the well-being of the people of the nation, comprehensive judgments being required from a scientific standpoint. But here, too, what is strongly required is, once again, the publication of scientific achievements, freedom of speech and research stance and independent judgment, the independence of academic content, and a democratic cooperative system.

Research on the new coronavirus and virus countermeasures are also full of unknown problems, but if political criteria are introduced to exclude some scientists simply because they do not coincide with the interests of the administration, the neutral scientific investigative activities required of scientists may be hindered and finally fall short of the expectations of the public. Judgment criteria based on political interests or an administrative standpoint are not always in harmony with the scientific criteria of scientists, but rather distort scientific judgments, and thus the utilization of scientific achievements may ultimately be contrary to the interests of the people of the nation. It is impossible to forget the bitter experience of the history of Japan’s nuclear power, that is, the promotion of the “safety myth” through the exclusion of the scientific views and knowledge of some scientists on the basis of the so-called “nuclear village,” formed due to cooption by political and economic interests, that resulted in the terrible damage brought about by the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station accident on March 11, 2011 and the great many people who are still not able to return to their hometowns.

The method of selecting members of the Science Council of Japan has changed from a popular-vote election system at the outset, to a system of recommendations from academic societies in 1983, and finally, from 2004, to the cooptation system of the present day. The criteria for selecting members are excellent research or achievements, and each method has had its own problems. However, in each of these cases, intervention into matters of personnel from the totally different dimension of the administration, bringing into science the criteria of accommodation with specific administrative purposes, threatening the crucially important academic freedom and freedom of speech in science, which influences research methods, democratic debate among scientists, scientists’ attitudes, and thus harms the autonomous development of science. Ultimately, it may undermine the interests of the people of the nation.

The refusal to appoint candidates this time is said by Prime Minister Suga to be “an appropriate measure based on the law” and a “comprehensive and bird’s-eye view” measure, but the reasons and criteria for the refusal have not been indicated. If there is a selection standard that differs from the Science Council of Japan Act, it cannot be persuasive unless it is clearly stated. To the contrary, there is no option but to say that this is political intervention in personnel matters that is inconsistent with the provisions of the Science Council of Japan Act. While this political intervention obstructs autonomous and free academic activity, we have little option but to harbor suspicions that the lack of explanation for the reasons behind the refusal are, in the end, an aim to carry into the scientific community the kind of politics of “sontaku” (the performance of pre-emptive acts designed to ingratiate oneself with one’s superiors) that brought about a barbaric destruction of official documents unparalleled in history. Scientific research challenges the unknown, but at the same time it is also a challenge to academic and social authority, including the scientists themselves. If academic freedom is suppressed and “sontaku” prevails, democratic, free-spirited debate and the enterprising spirit in the scientific community that confronts social and academic powers and authorities, and pioneers the unknown, may be impeded. If this occurs, looking to the long term, this may lead to the power of scientists to confront the unknown being diminished, the “scientific ability” of society being impaired, and this may result in disempowering the people of the nation to pursue profits.

We are strongly concerned that the government’s recent measure will harm not only the Science Council of Japan but also the scientific community and the lives of the people of the nation, and we therefore demand the prompt retraction of the refusal to appoint the six candidates and their immediate appointment

Furthermore, on October 9, Prime Minister Suga explained that he did not see the list of the 105 nominees submitted by the Science Council of Japan, only a list of 99 people (six nominees having already been excluded). If this is true, the very fact that the decision was a “comprehensive and bird’s-eye view” decision is doubtful, and even calls into suspicion the falsification of official documents. What is therefore required is an accurate explanation of the process from the submission of the recommendation document by the President of the Science Council of Japan to the decision to appoint 99 nominees, and the reasons for the refusal to appoint the six nominees.

https://historyofscience.jp/blog/2020/10/13/presidents-statement-2020-10-11j/ (Japanese)[1] 


 [1]Translation includes some supplement.

Japanese Academic Societies Unite to Release a Joint Statement to Protect the Independence of the Science Council of Japan

December 2nd, 2020
Committee of History of Science Society of Japan

Japanese Academic Societies Unite to Release a Joint Statement to Protect the Independence of the Science Council of Japan

Japanese scholars have met the Prime Minister Suga’s decision to reject the candidacy of six humanities and social sciences scholars for the Science Council of Japan with grave concern. 226 academic societies in the humanities and social sciences in Japan issued a Joint Statement on November 6th. Since then, the number of co-signers has reached 310. On December 2nd, they issued the same statement in English, gave a press interview and appealed to scholars and citizens worldwide for support and cooperation.

The Science Council of Japan, which is a national academy and not a federation of academic societies, does not directly represent the interests of the societies. Nevertheless, the societies are deeply concerned with the issue as the Prime Minister’s rejection of appointment not only violates the independence of the Science Council of Japan but also further threatens academic freedom, autonomy and democracy in Japan.

See the interview video on the Joint Statement: https://youtu.be/47unG8Y0-JQ

As one of the societies that have co-signed the Joint Statement, History of Science Society of Japan hereby releases the Joint Statement and also its own Statement in English.

Please send your supportive message to: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdG8c42G4jnqvV3WygBNkttnEAzIeB-UiHMcOMhtE-INn0z3w/viewform?usp=sf_link