2023年度(第36期) 科学史学校のご案内

2023年度(第36期) 「科学史学校」も引き続きZoomのオンライン開催で、事前申込(無料)、会員以外のどなたでもご参加可能です。Googleフォームから参加申し込みをしていただくと、前々日にメールでZoomのミーティングIDとパスコードが送られてきます。

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◆2024年2月の科学史学校の参加申し込みリンクは以下となります。2月22日(木)正午12時までにお申し込みください。

https://forms.gle/RBtKE6ZCNL2TLdQd8

2024年2月24日(土)午後2-4時
中尾 暁 会員 (東京大学大学院)
「メンデル遺伝学はいかにして誕生したか」
20世紀初頭に確立されたメンデル遺伝学は、遺伝の問題を発生の問題
題から切り離して捉えるなど、さまざまな点で新しい遺伝観の上に成り立っていた。遺伝に関する新しい見方はどのようにして形成されたのだろうか。本報告では、“メンデルの再発見”の解釈に関する論争を中心に、これまでの諸研究を紹介する。その上で、化学と生物学のあいだに概念や理論のアナロジーが成り立つという発想が重要な役割を果たしていたという、報告者の考えについても説明する。

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2023年度(第36期)科学史学校

2023年4月22日(土) 午後2-4時
多久和 理実 会員(東京工業大学)
「ニュートンの光と色についての研究における「実験による証明」」
アイザック・ニュートンの光学研究において実験はどのような役割を果たしていたのだろうか。ニュートンの実験を、科学革命期の自然観の変革の代表例であるガリレイらの「自然学的数学」およびロンドン王立協会の実験哲学と比較し、それらとは方向性が逆の取り組みであったことを指摘する。

2023年6月24日(土)午後2-4時
東 慎一郎 会員 (東海大学)
「ヨーロッパ学問論史の展望——ルネサンスから初期近代にかけての場合」
演者はこれまで、数学の本質や意義をめぐる数学論、あるいは学問知の性質をめぐる学問論に注目しながら、ルネサンスから初期近代にかけてのヨーロッパ科学史を研究してきたが、幸運にもその成果(Penser les mathématiques au XVIe siècle, 2018;『ルネサンスの数学思想』、2020年)により、アカデミー・フランセーズのマルセル閣下賞と日本科学史学会学術賞をいただいた。今回の講演では一連の研究の分野的背景や残された問題について紹介したい。

2023年8月26日(土)午後2-4時
矢口 直英 会員 (東京大学大学院)
「中世のイスラーム教徒の医療倫理書」
クトゥブッディーン・シーラーズィー(1311年没)には『医学と医者が必要であることの証明』という医療倫理の著作がある。これは彼によるイブン・スィーナー(1037年没)『医学典範』への注釈にある、関連する記述を再編集したものであり、ギリシア医学およびイスラームに基づいた医学の擁護など、興味深い点がある。本発表では中世のイスラーム教徒による医療倫理書の一事例としてこの著作を紹介する。

2023年10月28日(土)午後2-4時
田中 一郎 会員 (金沢大学 名誉教授)
「ヴィヴィアーニ『ガリレオの生涯』を読む」
ヴィンチェンツォ・ヴィヴィアーニによって書かれたガリレオの伝記については、振子の等時性の発見へと導くことになったピサ大聖堂での出来事とピサの斜塔実験が繰り返し語られてきたが、その全文が翻訳されることも、そこに何が書かれているかに関心がもたれることもなかった。ウィッグ史観はあれほど批判されながらも、科学史の世界に生き続けているのであろうか。ヴィヴィアーニの記述を手がかりとして、あの時代に何が進行していたのかを再構成してみる。

2023年12月16日(土)午後2-4時
稲葉 肇 会員 (明治大学)
「統計力学の形成」
われわれは、目に見えるマクロな物質が、実は非常に多数のミクロな原子からなる集団であることを教えられる。このことを物理学の見地から保証するのが統計力学である。19世紀後半に生まれたこの理論は、まさに「統計」という手法を用いた点にその新しさと難しさがあった。本講演では、拙著『統計力学の形成』(名古屋大学出版会、2021年)をもとに、統計力学の形成にかかわったマクスウェル、ボルツマン、ギブスらの足跡を追う。著書リンク:https://www.unp.or.jp/ISBN/ISBN978-4-8158-1036-8.html

2024年2月24日(土)午後2-4時
中尾 暁 会員 (東京大学大学院)
「メンデル遺伝学はいかにして誕生したか」
20世紀初頭に確立されたメンデル遺伝学は、遺伝の問題を発生の問題
題から切り離して捉えるなど、さまざまな点で新しい遺伝観の上に成り立っていた。遺伝に関する新しい見方はどのようにして形成されたのだろうか。本報告では、“メンデルの再発見”の解釈に関する論争を中心に、これまでの諸研究を紹介する。その上で、化学と生物学のあいだに概念や理論のアナロジーが成り立つという発想が重要な役割を果たしていたという、報告者の考えについても説明する。