2018年度(第31期)科学史学校のご案内

日本科学史学会では、一般の方を対象とした公開講演会「科学史学校」を開講しています。
全6回・聴講料は無料です。

期間:2018年4月~2019年2月
会場:日本大学理工学部駿河台校舎(4,6,8,10,12,2月)
*会場の建物名・部屋番号が回によって変わります。下記のプログラムにてご確認ください
時間:14時~16時
事前申し込み不要・参加費無料・自由参加

31期プログラム
(
日付・講師・演題・会場の順)

2018年4月28日(土)
講師: 西尾 成子 会員 (日本大学名誉教授)
演題:「なぜ石原純か」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎1号館7階171教室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

理論物理学者、石原純(1881-1947)は、20世紀初頭、相対論と量子論に関する世界的水準の研究を行った。時期的にも世界に後れを取らなかった。彼が日本で突出してそのような研究に取り組めたのはなぜか。恋愛事件のために東北帝国大学教授を辞し、物理学研究者としての道を断ったのはなぜか。戦後間もなく、交通事故で、致命的な重傷を負った。それは単なる事故だったのか。それらの疑問は依然として謎である。

2018年6月23日(土)
講師: 古川 安 会員(化学史学会前会長)
演題:「喜多源逸と化学の京都学派」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎1号館7階171教室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

喜多源逸は京都帝国大学工学部工業化学科に在任中、化学の「京都学派」と呼ばれる学派を創始し、独自の学風を植え付けた。その門下から、桜田一郎、兒玉信次郎、小田良平、福井謙一から野依良治へと連なる才気あふれる化学者たちが輩出した。基礎に裏打ちされた応用を重視した彼らは、高分子化学、有機合成化学、量子化学など関連基礎分野の開拓とその人材育成に顕著な役割を果たした。本講演では、喜多を中心に京都学派の誕生と展開の様相を論じる。

2018年8月25日(土)
講師:高橋 博子 会員 (名古屋大学大学院 研究員)
演題:「ビキニ水爆被災とアメリカ原子力委員会―マグロ調査中止のなぞ」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎10号館5階特別会議室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

1954年3月1日のビキニ環礁での米水爆実験で、マーシャル諸島の人々、米兵、そしてマグロ漁船乗組員が放射性降下物(死の灰)によって被ばくした。同年3月から厚生省は漁獲マグロの調査を行い、基準値を超えたものは破棄する方針となった。ところが12月末でマグロの調査そのものが中止された。本講演では、核実験を実施したアメリカ原子力委員会や駐日アメリカ大使が、調査中止に関与していたことを、米古文書等を通じて検証する。

2018年10月27日(土)
講師:水沢 光 会員(東洋大学)
演題:「軍用機の誕生―日本軍の航空戦略と技術開発」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎1号館7階171教室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

第一次世界大戦を経て、兵器としての航空機が重視され始めるなか、日本陸海軍も独自の戦略的期待や用兵思想に基づき軍官民を挙げて研究開発を進めていった。本講演では、陸海軍それぞれの航空戦略の違い、国産技術の確立や研究機関の整備、対日技術封鎖の進展とその反響などを明らかにする。科学者と技術者を総動員し、九七式重爆撃機・零式艦上戦闘機・紫電改などの世界的レベルの航空機を生み出した科学技術体制の実態に迫りたい。

2018年12月1日(土)
講師:東 慎一郎 会員 (東海大学)
演題:「科学論の歴史を振り返る―ルネサンス(14~16世紀)の事例から」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎1号館7階171教室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

科学とは何か、自然現象を研究することの意義は何なのかという問題は、広い意味での科学論の問題である。こうした問題の検討は現代において始まったわけではなく、ヨーロッパでは科学や哲学と同じくらい古い歴史を持つ。講演では、主としてルネサンス期に焦点を絞り、科学的認識の本質や射程、あるいは意義や問題といったものがどのように捉えられていたかを振り返り、その現代的意味について考える。

2019年2月23日(土)
講師:伊東 剛史 会員 (東京外国語大学)
演題:「動物園と科学の関係―黎明期のロンドン動物園を題材として」
会場:日本大学理工学部駿河台校舎1号館7階171教室(JR御茶ノ水駅より徒歩3分)

1828年開園のロンドン動物園は、世界初の科学的な動物園と紹介されることがあるが、実際には動物園が科学の発展に果たす役割は、当時のイギリス社会ではそれほど明確ではなかった。むしろ、科学的な知識や実践が大衆消費社会に組み込まれるようになったため、娯楽を提供する動物園は果たして科学的な施設なのかが問われた。本講演では、ロンドン動物園に関するさまざまな史料を用いながら、動物園と科学との関係を歴史的な視点から考える。

アクセス(交通案内)

  • <東京>日本大学理工学部駿河台校舎
    JR中央・総武線「御茶ノ水」駅 下車徒歩3分
    東京メトロ千代田線「新御茶ノ水」駅 下車徒歩3分
    東京メトロ丸ノ内線「御茶ノ水」駅 下車徒歩5分

お問い合わせ先
日本科学史学会 普及委員会

e-mail : fukyu
(後ろに@historyofscience.jpを追加してください)

2018年4月22日第4回和文誌編集委員会を開催します。

2018年1月21日に第3回和文誌編集委員会を開催しました。次回は、2018年4月22日を予定しています。

2018年2月23日に『科学史研究』285号(2018年4月号)の入稿をしました。
論文2、シンポジウム2、科学史入門1、アゴラ1、書評6になります。

会員のみなさまからの積極的ご投稿をお待ちしています。

2018年3月31日 技術史分科会研究会のお知らせ

技術史分科会では、大阪の科学論技術論研究会と共催で研究会を実施します。

日時:3月31日(土)13:00-17:00(12:30開場)
場所:大阪市立大学梅田サテライト 大セミナー室(大阪駅前第二ビル6階)

テーマ:「現代の技術革新・技術形成―ドイツのIndustrie4.0と中国の基盤技術形成―」

<報告者と発表タイトル>

Ⅰ.ドイツIndustrie4.0調査報告

  • 中村真悟(立命館大学)「It’s OWL」
  • 今田 治(立命館大学)「DMG森精機」
  • 永島 昂(立命館大学)「その他」

Ⅱ.中国の基盤技術形成

  • 田口直樹(大阪市立大学)「中国における基盤技術形成の実態ー金型産業を事例にー」

コメンテーター 佐野正博(明治大学)

コメンテーター 木本忠昭(科学史技術史研究所)

司会 岡田大士(中央大学)

2018年2月24日科学史学校開催報告

先日行われました、科学史学校の様子です。
年度としては最後となります。今年度も多数の聴講ありがとうございました。

講師: 小宮山 陽子 会員(東京女子医科大学)
演題:「内部環境概念からホメオスタシス概念への展開―ベルナール、ホールデン、ヘンダーソン、そしてキャノン―」

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