諸研究会の情報:フランス科学史・科学哲学研究会

研究会名: フランス科学史・科学哲学研究会 

運営責任者: 平井正人 連絡先
(個人: s08679mh
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研究会: groupe_de_lecture_de_georges_canguilhem@googlegroups.com

研究会の趣旨・概要

金森修に紹介されて以来, 科学史・科学哲学におけるフランス的伝統は英米の科学史・科学哲学の伝統とは異質な潮流として位置づけられてきた. とりわけバシュラール, カンギレム, フーコー, ダゴニェなどは金森によって「エピステモロジー」とカテゴライズされてきたが, 当然ながら, 英語圏で認識論 (epistemology) と呼ばれる分野とは内容的に異質のもので, 呼称が同じであるがゆえに大きな混乱も招いてきた. こうした経緯もあって, フランス・エピステモロジーは, 金森によってその特異性が強調されすぎたこともあってか, 科学史家からは「哲学」と見なされ, 哲学者からは「歴史」と見なされてきた。 その結果、フランス・エピステモロジーは、その古典としての価値は認められていながらも, 日本のアカデミズムの中では概して傍流に追いやられてきたように思われる。しかし, 昨今では科学史・科学哲学におけるフランス・スタイルと称されるものがフランス内外で再び注目を集めている. 契機となったのは, 1994年に創設されたベルリンのマックス・プランク科学史研究所 (Max Planck Institute for the History of Science in Berlin, MPIWG) で「歴史的認識論」 (Historical Epistemology) がリサーチ・プログラムとして推進されたことである. 例えば, ローレンツ・クリューガーの確率概念, ロレーヌ・ダストンとピーター・ギャリソンの客観性概念, ハンス=イェルク・ラインベルガーの遺伝子概念についての研究などが代表的であるが, 何らかの科学的概念の出現, 科学的対象の出現を問う手法は, フランス・エピステモロジーの流れを汲むものであると考えられている. そもそも「歴史的認識論」という呼称は, バシュラールのアプローチに対してドミニク・ルクールが名付けたものであるが, 今日ではそれが拡張され, バシュラール, カンギレム, フーコーの系譜に属する研究も歴史的認識論と呼ばれるようになった. それゆえ, 科学史・科学哲学におけるフランス的伝統に通暁することは, 歴史的認識論という科学史方法論を身につけ, 今後の科学史研究に応用するための前提条件に他ならない. そこで本研究会では, 昨今のフランス・エピステモロジーや歴史的認識論と称される最新研究をフォローしつつ, フランス科学史・科学哲学の古典を輪読することで, その精神を理解し, 必要に応じて研究に活かせるようにすることを目的とする. 

研究会の開催: 

およそ月に一度のペースで東京大学駒場キャンパスで開催される. 本研究会はこれまでカンギレム読書会という名称で運営され, 『全集』の出版に伴う昨今のカンギレム研究の進展をキャッチアップしつつ, カンギレムの原典を輪読してきた. 目下, 『イデオロギーと合理性』を輪読中であるが, それが2020年4月までには今後は一旦バシュラールに移行する予定である. メインの活動はフランス語や英語の原典を輪読することであるが, メンバーの希望に応じて, 関連する二次文献や最新研究を扱う機会を設けたり, デカルトやビュフォンといった科学史上の一次テクストを扱ったり, 個人研究の検討会を開いたり、将来的にはシンポジウムを開催したり, 論文集を出すなどしてアウトプットの機会を設けたりすることも視野に入れている.

(参加希望者には連絡します)