「特定秘密保護法案に対する歴史学関係者の緊急声明」に関して

「特定秘密保護法案に対する歴史学関係者の緊急声明 」および
「特定秘密保護法に反対する歴史学関係者の第2次緊急声明」に
賛同します。
2013年11月25日 日本科学史学会 会長 板倉聖宣

以下、歴史学研究会webサイトに掲載されている文章(http://rekiken.jp/announcement201311.html)を転載します。
    特定秘密保護法案に対する歴史学関係者の緊急声明

去る10月25日、政府は、特定秘密保護法案(以下、「法案」という。)を閣議決定した。このたび閣議決定された法案には下記のように多くの問題点が含 まれており、十分な審議を尽くすことなく、今回の法案の採択を急ぐことには、歴史学の研究と教育に携わるものとして、重大な危惧の念を表明せざるを得ない。
1.「特定秘密」に指定された文書が、各機関での保管期限満了後に国立公文書館などに移管されて公開されることが担保されておらず、歴史の真実を探求す る歴史学研究が妨げられる恐れが強いこと。
2.「特定秘密」の指定が行政機関の長のみの判断で可能であり、また一度特定秘密指定をされれば、指定が解除されない限りその妥当性は誰も監視できないため、恣意的に濫用される可能性が高いこと(第3条)。
3.歴史学研究者の史料調査において、「特定秘密文書」を史料として入手した際に、「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」とされ、刑事処罰の対象にされる恐れがあること(第23、24条)。
4.知る権利に関連し「報道または取材の自由」への配慮が記されたとはいえ、「学問の自由」を含む全ての人々の基本的人権の不当な侵害への配慮がされているわけではないこと(第21条)。

2011年に施行された公文書管理法によって、行政文書や特定歴史公文書等の取扱いのルールが明確にされたにもかかわらず、今回の法案は各行 政機関の長が恣意的に「特定秘密」の指定を行えるなど、公文書管理法の基本的な精神に反するものになっている。この法案が成立すれば、歴史的に重要な文書 が行政機関によって恣意的に選別される可能性が高く、歴史学の研究と教育に多大の障害をもたらすことが懸念される。よって、特定秘密保護法が制定されることに対し、我々は強く反対する。

2013年10月30日

歴史学研究会委員長 久保亨
日本史研究会代表委員 藤井譲治
歴史科学協議会代表理事 糟谷憲一
歴史科学協議会代表理事 塚田孝
歴史教育者協議会代表理事 山田朗
同時代史学会代表 吉田裕
東京歴史科学研究会代表 中嶋久人
日本の戦争責任資料センター共同代表 荒井信一
国立歴史民俗博物館・前館長 宮地正人

以下のアドレスで賛同署名を集めています。多くの皆様の賛同をお願いいたします。
http://chn.ge/1hEH5WP

特定秘密保護法に反対する歴史学関係者の第2次緊急声明

われわれが10月30日に特定機密保護法案に反対する緊急声明を出した後、すでに2000人を超える歴史学関係者から声明に対する賛同署名が集まるとともに、日本の歴史学者と文書館関係者をほぼ網羅する日本歴史学協会と日本アーカイブズ学会という2つの団体が同法案を批判する声明を出した。その重みを政 府と国会は真剣に受けとめるべきである。

伝えられる修正協議の内容は、まったく問題点を解決するものではなく、それどころか、かえって新たな問題を生じさせる内容さえ含まれている。
1.行政機関の長が恣意的に特定秘密を指定し、情報を隠すことができるという法案の危険な本質的内容は、まったく修正されてないこと。
2.たとえ行政の最高責任者たる首相や行政機関内部に設ける別組織が特定秘密指定の妥当性を監視する仕組みを設けたとしても、それは行政機関から独立した 第三者機関による審査と呼べるものではなく、いずれも行政機関による恣意的な情報隠しを防止するものにはなり得ないこと。
3.特定秘密の指定が可能な期間を、基本的に文書作成から最長で60年までに限るという修正がなされているが、これは逆に60年間は特定秘密を解除しなくて良いと各行政機関に判断されるおそれがあり、歴史学の研究・教育にとってきわめて大きな障害をもたらすのが憂慮されること。

日本の平和と安全に関する重大な情報を国民の目から隠す本法案は、歴史学の研究・教育にも大きな障害をもたらし、国の将来に禍根を残す稀代の悪法と言わねばならない。現在必要なことは、日本アーカイブズ学会が声明で指摘しているように「公文書管理法の趣旨にのっとって行政文書の適切な管理のための方策を とること」であり、米国の「国立公文書館記録管理庁」が持っているような文書管理全般に関する指導・監督権限を国立公文書館に付与すること、その権限に見 合った規模に国立公文書館を拡充すること、そしてそれを支える文書管理の専門的人材を計画的に養成・配置することである。
政府と国会が大局を見失わず、拙速な審議で悪法の強行成立を図ることを避け、情報を大切に扱い、行政文書の適切な管理を行うことを強く要請する。

2013年11月22日

歴史学研究会委員長 久保亨
日本史研究会代表委員 藤井譲治
歴史科学協議会代表理事 服藤早苗
歴史科学協議会代表理事 塚田孝
歴史教育者協議会代表理事 山田朗
同時代史学会代表 吉田裕
東京歴史科学研究会代表 中嶋久人
日本の戦争責任資料センター共同代表 荒井信一
国立歴史民俗博物館・前館長 宮地正人

http://rekiken.jp/announcement201311.html

(転載終わり)