公開シンポジウム「科学者・技術者と軍事研究――科学・技術と研究者倫理にかかわる諸問題の科学史的検討――」

日本学術会議史学委員会の「科学・技術の歴史的理論的社会的検討分科会」は、首記のシンポジウムを下記のように開催することになりました。

みなさまのご来場をお待ちします。

1.主 催 日本学術会議史学委員会「科学・技術の歴史的理論的社会的検討分科会」

2.日 時 2016年12月11日(日) 13:00~17:00(予定)

3.会 場 明治大学駿河台キャンパス・グローバルフロント1F多目的室

案内図:https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/campus.html

4. 開催趣旨

日本の科学者・技術者は、かつて第二次世界大戦で軍事研究に従事し、その結果多大な人命の喪失を引き起こした経験から、軍事研究に荷担せず、科学・技術ひいては学術は平和のためにあるべきであるという決意を固めてきました。日本学術会議も「戦争を目的とする科学の研究には絶対に従わない」という1950年総会の決議や、1967年の軍事目的のための科学研究は行わないという総会決議に表されるように軍事研究を行わないという基本姿勢を堅持し科学研究の倫理的行動規範を主導してきました。

しかし、近年、防衛省からの競争的資金の提供などをめぐって軍事研究を容認するかのような動きも出てきており、日本の学術研究の基本的姿勢を変えかねないと危惧されています。軍事研究へのスタンスのあり方を検討するには、科学・技術の発達の論理や、科学・技術の人類的意義、社会平和と科学・技術、科学者・技術者と倫理の諸問題などの広範かつ根本的な議論が必要です。一部伝えられているような「デユアル・ユース」にはバウンダリーがないという捉え方で判断される問題なのか、また学術研究の方向を時々の政治政策や軍事戦略的要求に迫られて意思決定される問題なのか、どのような問題が検討されるべきでしょうか。

本シンポジウムでは、科学史・技術史、科学論・技術論、科学技術政策、研究者倫理等の分野の各方面から問題提起を行います。これまでの科学と技術、それに携わってきた科学者・技術者が学術を究め、社会にどのように向き合ってきたのか、その道程に照らして検討したいと考えています。

5.プログラム

開会挨拶:兵藤友博(日本学術会議第一部会員、立命館大学教授)

司 会 :木本忠昭(日本学術会議連携会員、東京工業大学名誉教授)

演題とシンポジスト氏名

*「近年の日本学術会議での検討状況とその論点について」

小森田秋夫(日本学術会議連携会員、神奈川大学教授)

*「初期の日本学術会議と軍事研究問題」

小沼通二(慶応大学名誉教授)

*「軍事研究の中の科学者 ―731部隊の科学者とその現代的意味」

常石敬一(神奈川大学名誉教授)

*「日本の軍縮の包括的ビジョン構築の必要性」

吉岡斉(日本学術会議連携会員、九州大学教授)

*「安全保障問題と軍産複合体―軍民両用技術を考える」

西川純子(独協大学名誉教授)

*「軍事と科学 ―21世紀社会において科学者に問われるもの」

池内 了(名古屋大学名誉教授、総合研究大学院大学名誉教授)

全体討論

閉会挨拶:井野瀬久美恵(日本学術会議副会長)

入場無料(定員約195名)

以上。