科学史学校

2026年度(第39期)「科学史学校」も引き続きZoom のオンライン開催となります。事前申込(無料)で、会員以外のどなたでも参加可能です。Google フォームから参加申込みをしていただくと、前々日にメールでZoom のミーティングID とパスコードが送られてきます。前々日にメールでZoom参加用のURLが届かなかった場合には、同日中にkagakushi.talk(at)gmail.comまでご連絡ください。開催時間は午後2時~4時です。

◆2026年4月の科学史学校の参加申し込みリンクは以下となります。前々日の4月23日(木)正午12時までにお申し込みください。

https://forms.gle/biBdLqP84UKy3QMT7

2026年4月25日(土)午後2-4時
徳武太郎先生(パリ・シテ大学)
「ディオファントス『算術』第4〜7巻:アラビア語訳でしか知ることのできないギリシア数学書」
ギリシア数学書のなかには原典が失われてしまい、アラビア語訳でしか知ることのできない文献がある。ディオファントス『算術』第4〜7巻もこうした文献に含まれる。同書は具体的な数値を伴った問題とその解法を列挙した問題集である。本講演では、楠葉隆徳教授と発表者による共著『ディオファントス『算術』:アラビア語版和訳注』(現代数学社、2025年)に基づき、ディオファントス『算術』アラビア語版の内容を紹介する。

2026年6月27日(土)午後2-4時
塩野麻子先生(立命館大学)
「近代日本における結核管理の歴史」
感染症対策というと、病原体の感染を防ぐ方法がまず思い浮かぶかもしれない。しかし、近代日本における結核対策は、必ずしも感染防止を中心とするものではなかった。近代国家としての歩みを進めていた日本において、結核の感染拡大はもはや避けられないものとして受け止められ、病原菌の感染を前提に、感染後の身体や生活のあり方に介入していく結核管理が構想された。本講演では、拙著『病原菌と人間の近代史』(人文書院、2025年)をもとに、全人口的な結核感染が予期された近代日本において、どのような結核管理が構築されていったのかを考察する。

2026年8月22日(土)午後2-4時
廣川和花先生(専修大学)
「医学・医療をめぐる複数の歴史像」
医学・医療の歴史は、人間に恩恵をもたらす輝かしい進歩の歴史として描かれる場合もあれば、逆に、繰り返してはならない被害を生んだ教訓の歴史として描かれる場合もある。時には同じ事象を扱っていながら真逆の評価が下されたり、時の経過によって評価が180度転換することも起こり得る。本講演では、近代日本のハンセン病の歴史を中心に扱いながら、こうした複数の歴史像がどのように生まれ、せめぎ合ってきたのかについて考えたい。

2026年10月24日(土)午後2-4時
太田由佳先生(京都大学)
「日新の業:小野蘭山の本草学」
小野蘭山は、薬物利用の前提となる自然物の形態観察と描写、および適切な名称選定を追究した江戸時代を代表する本草学者である。本講演では蘭山流の学問の在り方を、草木図や講義録、門人宛の書簡といった具体的な資料を通じて紹介する。また蘭山は、本草学を過去の権威に囚われずに日々更新するべき「日新の業」と捉えたが、実際にはそれはどのような実践であったのか、その〈新しさ〉の所在を先行する本草学者との比較も交えて考察する。

2026年12月12日(土)午後2-4時
小林龍彦先生(前橋工科大学名誉教授)
「中根元圭と『暦算全書』」
中根元圭は京都にいた暦算学者・漢学者である。享保年間の初め建部賢弘と邂逅し、以後、両者は親交を深めた。また、享保6年には8代将軍徳川吉宗に拝謁し暦算学の下問に応えた。享保11年に『暦算全書』が舶載されるとこれの訓点和訳にも携わった。その後吉宗の命を受けて太陽と月までの距離を測定するが、そこには三角法が用いられていた。この講義では中根元圭の業績を紹介しながら、彼に関わる先行研究の謬説の修正を目指す。

2027年2月27日(土)午後2-4時
渡邊香里先生(東京大学大学院)
「星の明るさを測る––19世紀欧米における天文眼視測光」
天文学研究に不可欠な星の明るさ(等級)という情報は、20世紀以降は写真や光電管、CCDといった技術により観測されている。しかしそれ以前にも、天文学者は光学的に様々な工夫をこらした測光器を用い、肉眼でそれを覗いて、体系的に星の明るさを測定していた。古代ギリシアから存在した星の等級という情報を、19世紀の天文学者はどのようにして拡張し、精緻化し、統一的な尺度を作り上げようとしたのか。本講演では、米・英・独の国ごとの違いにも注目しながら、眼視測光の史的展開を紹介する。