日本科学史学会・研究行動規範
2021年3月14日制定
2023年1月22日改訂
日本科学史学会は、平和と民主主義を重んじ、会員による自主的で自律的な研究活動を促進することによって、科学史および技術史の研究の進歩と普及をはかる。この目的を達成していくため、本会は自由な問題意識に基づく多様な研究活動に発表の機会を提供し、会員相互の連携に加えて隣接領域との学際的および国際的な連携を促す。そして、専門研究者の養成と会員自身の自己研鑽への支援、ならびに学問を通じた社会貢献に努める。これらを会員相互の協力によって実現していくために、本会の会員は本会を通じた研究活動において以下の行動規範を遵守する。
<総則>
- 発表する研究成果は本規範を遵守した公正な研究方法によって構成する。
- 発表する研究テーマについては、先行研究に十分に配慮するとともに、つねに多様な歴史的事実からできるだけ客観的に判断する。
- 実質をともなわない方法で研究業績数を増やし、自分への評価を惑わせない。
<捏造・改ざんの禁止>
- 発表内容の根拠となる事実関係に捏造・改ざんを加えない。
<盗用の禁止>
- 発表内容に知的財産の盗用を含めない。
- 文献・画像など資料の引用を行う場合には、出典を適切に明示する。
- 必要な場合には、投稿前に引用資料の所有者・管理者に連絡して使用許諾を得る。
- 自分が過去に発表した研究成果を引用する場合には、その出典を適切に明示する。
<多重投稿の禁止>
- 同一の研究成果を多重に投稿しない。ただし、他言語への翻訳発表など研究成果の普及・教育目的などのために必要と考えられる場合に、投稿先に内容重複の可否を確認し、オリジナルの出典を適切に明記した上であれば、この限りではない。
<分割投稿>
- まとまった研究成果を、業績数を増やすことだけを目的として細かく分割して発表することは不適切である。
<オーサーシップ>
- 著者として研究に貢献した者を、発表媒体の編集方針に従って適切に明記する。実質的貢献のない者に対するギフト・オーサーシップや、著者として明記すべき者を明記しないゴースト・オーサーシップを避ける。
- 共著者は、その発表内容と研究公正に責任を持つ。
- 連絡責任著者は、発表内容に関してすべての共著者の同意を得る。
<利益相反の明示>
- 所属や研究助成などに関して、発表内容に影響を与える利益相反が懸念される場合には、それを明示する。
<研究対象への倫理的配慮>
- 研究対象への誹謗中傷を避ける。
- 研究対象者の人権には十分に配慮する。歴史的な研究対象として差別的内容を扱う場合には、その表現に十分に配慮する。
- 投稿・発表にあたって内容に倫理的な懸念がある場合には、可能な限り研究対象者の許諾を得るとともに、必要に応じて所属機関の倫理審査委員会などの許諾を得る。その上で、投稿先・発表先に対して内容の倫理的懸念を通知する。
<研究資金の用途への配慮>
- 研究資金の不正使用を行わないように、その用途には十分に配慮する。判断が難しい場合には所属機関や助成機関に確認する。
以上