記録:新会長挨拶


香川大学にて行われました第64回日本科学史総会にて、会長・役員選挙の結果が承認されました。承認後斎藤憲新会長より挨拶をいただきました。その書き起こし内容を斎藤新会長よりいただきましたので、ここに掲載します。

(以下、斎藤新会長より)
2017年6月3日に開催された年会での新会長就任の挨拶(約6分)です.口頭での挨拶を録音から再現したので,議論が散漫なことはご容赦ください.口語的な表現を一部改め,括弧内を補足しました.

斎藤です.このたび,選挙で会長に選ばれました.御挨拶申し上げます.どうぞよろしくお願い申し上げます.

選挙においては,会員に開かれた学会ということを言いました.今まで開かれてなかったのかというと,そんなことはないはずなのですが,やっぱり,ずっとヒラのただの会員だった私のイメージは,何となく,あっち側の人とギャップがある.要望とか何かあってもどこに持っていっていいかわからない.個人的に全体委員の知り合いとかがいて話をするということは,ほとんどの人にとって考えられないことですから,会員の意見とか要望を積極的に聞きに行くということを,まずやりたいと思います.

といっても御用聞きみたいに何かありませんかではダメなんで,やはり,今こういう現状でこういうことをやっています,それでこういうことで問題が多くて解決策を全体委員会で考えているんですが,といった具体的な説明をこちらからして,その上でご意見ご要望を聞くというような機会をできるだけ作りたいと思います.もちろんそうでなくて,(会員皆さんの側から)こういうことを思うんだけど,という話をしていただいても結構です.

ついでにいい機会なので,お互い呼ぶときは「さん」づけにしたい,すべての方を「さん」づけで呼びたい,と思います.といっても,ここに伊東俊太郎さんが来たら「伊東さん」と呼ぶのかといえば,僕も勇気が要るのですが,この際ですので,是非私に話しかけるときは,会長でも先生と呼ばずにですね,「斎藤さん」と呼んでください.お願いいたします.

それから,私に何か喋っても,会長というのは,いまちょうど会則の改正案が出ていますが,何の権限もありません.せいぜい全体委員会に行って,こういうの(意見・要望)が出て,検討すべきだと思いますけど,と提案する,そしてその結果をご報告するという以上のことは出来ません.これ(会長に権限がないこと)はある意味では非常にラジカルな民主的な会則だということです.そういう点はご了承ください.ただ,できるだけ全体委員会に諮って,議論して,そのうえでこういうふうになっています,という報告がいく,というようにしたいと思います.

具体的なこととしては,科学史学会は会員が減ってきている,科学史の科目が減ってきている(ことが問題です).まず,若手研究者,若手というのは研究をはじめてまもない人いうことで,物理的年齢ではないのですけど,そういう人をサポートすることを何かしたいと思っています.具体的に何か研究会をやるとか,研究会でいいのか,そもそも若手研究者が何を必要としているのか,若手でない私には分からないのですが,(意向を調査したうえで)できるだけ何とかしたいと思います.

そのために予算をつけてくれと(昨日の全体委員会に)ねじこんで,本当は11万6千円が余る予定の黒字予算だったのですが,その分を予備費(全体委員会の議決によって使用可能)をつけるということを何とか全体委員会で了承していただきまして,そういう予算案が来ております.

ついでに言っておきます.たとえば午前中に若手研究者の研究発表をしてもらって,午後からはその同じ若手の人たちに,自分の研究分野を含む一般向けの科学史の授業をしてもらって,(聞きに来る方は興味関心に応じて)午後だけ参加していただいてもいい,そういうことを考えています.そうするとお昼があくので,お昼に懇談会をして,学会の現状を説明して意見を伺う,すると昼休みに逃げられると困るので,弁当を出したらどうかと(全体委員会で)言いましたら.非常に強い反論がありました.何かあの,学会にかかわるといいことがある,みたいなことはよろしくない,という(反対)意見が(全体委員会で)非常に強かったのです.それは言ってしまうと,木本さんのご意見です.(木本さんは)長年の間,ほとんど無償で40年近く,委員をやっておられます.僕の手元の記録では1978年から,ということですが,僕が入会する前からです.僕は80年に入会しました.

この学会はこれまで長い間,全体委員の,それも全員ではなく,一部の人の献身的な努力に支えられてきました.その方はどうしても,自分がこれだけやっているのだから,会員の皆さん,多少の関心を持ってくれるだろう,弁当で釣らなくても,来てくれて,ちゃんと意見を言ってくれるに違いないと思うわけです.その気持ちはよく分かるけれど,やっぱり釣らないと駄目ですよ,というのがどちらかというと私の意見です(が全体委員会の多数の意見に従います.だから弁当は出ないと思ってください).

長々と言ってしまいましたが,結局人手が足りないんです.30人の全体委員が皆同じように働いているわけでなく,一部の人だけが働いている.(すると)30人の中で,こういう言い方は(適切かどうか)分かりませんが,有力な委員というものができてしまいます.これは人数が30人という数になると人間のさがとしてやむをえないと思います.たとえば『科学史通信』や選挙関係もずいぶん誤植がありますが,やはりそこにかかわっている人手とかを考えると,とても責められない状況があります.

ということで,皆さんにお願いしたいのは,まずは関心を持ってください.もちろん,年9千円の会費を払って,そして今ここにいらっしゃる方はほとんどの方が9千円以上の交通費を使っておられると思います.だから非常に関心を持っておられるのですが,もう一歩進めて科学史通信などに目を通して意見を言ってほしい.(こちらとしても)意見を言いやすいように,具体的に意見を求めるように,たとえば学会のウェブサイトなどを何とかしたいと思います.言うのはただです.できれば運営に参加して委員になって,あるいはこれができる,これがやりたい,ということ(を言っていただいて),学会をもっと自分のものにしていただきたい.

民主的(という言葉について補足すると),選挙をやれば民主的なのではなくて,これは(私が)古代ギリシャのことをやっているので言わせてもらうと,選挙というのは貴族主義的なやり方なんです.選挙というのは最も良い人を選ぶ方法で,最も良い,というギリシャ語の形容詞はアリストスと言います.アリストクラシーの語源にあたるわけす.民主主義というのは,(古代アテネでは)基本的にはくじ引き・輪番が原則なんです.

僕は役員選挙なんかやめてしまえ,くじ引きにしてしまえ,という意見を実は持っています.実現しないと思いますが,是非学会を自分のものとして感じて(行動してください).これから色んなことを色んな機会に皆さんにお諮りして,意見を求める,何か提案を求める,それからこういうことなら出来ると手を挙げてくれる人を求める,ということをしていきたいと思います.是非ご協力をお願いいたします.

(以上)